CONTAX T2 レビュー Vol.12

白毫寺
CONTAX T2

デジタルのリアルとアナログのリアル。

解像度3000万画素を超える一眼レフ/ミラーレスが登場し、撮影した画像を見てみると、最新の撮像素子に記録された緻密で高精細な画は、ハッとするほど美しく、視覚をダイレクトに刺激する確かなリアルさを伝えてくれます。

記録と記憶。

一方、フィルムが描く写真には、デジタルとは異なる生々しいリアルさが存在します。デジタルは”記録”。アナログは”記憶”。と言われていますが、確かにフィルムで撮った写真を見ると、撮影した時の記憶をくすぐる、リアルな感情を呼び起こします。

白毫寺の石仏

上の写真はCONTAX T2で撮った、初冬の奈良 白毫寺の小さな石仏。

寒空の下、境内東側の山すそに点在する石仏のうちの一つに目をやると、その不思議な佇まいに惹かれ、シャッターを切りました。石像の前面を覆う白色の苔が印象的で、枯れた風景の中に、静かな存在感を放っています。

場の空気

T2で撮影したこの写真を見ていると、撮影した時の11月下旬の乾いた風、閑散とした境内の空気、喧騒とは無縁の静寂の時間など、この場、この時間の記憶が蘇ってきます。

石の質感、白い苔の色、土の気配。これらの写りは、どう見てもデジタルとは別物。このリアルこそが、フィルムにしか写せない独自の魅力なのです。

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