CONTAX T2 レビュー Vol.6

春日大社_灯篭
CONTAX T2

苔の生命感

とある早朝、バッグにCONTAX T2を入れ、奈良 春日大社へと向かう参道を散策していました。参道の両脇には、平安時代から寄進され続け、日本で最も多いとされる、約二千基もの石灯籠がずらりと並んでいます。
本堂のほど近くまできた時、長い歴史を感じさせる見事な苔に覆われた石灯籠を見つけ、その場でシャッターを切りました。

解像力

その日、現像に出したフィルムを自宅でスキャンしてみて驚かされたのが、Carl Zeiss Sonnar 2.8/38 T*の描写力。レンズの直径を測れば、15mmにも満たない小さな眼の、一体どこにこんな解像力が隠されているのか。

時を描写

見れば、描写の緻密さにハッとしたというよりも、心を動かされたのは生々しいその質感。石灯籠がこの場所で過ごしてきた長い時の流れそのものが、この写真の中に封じ込められているように思えたのです。
T2が描き出す独自の色には、デジタル一眼レフの正確無比なリアリティとは別の、人間の記憶に迫る、もうひとつのリアルを表現する力が秘められているのです。
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